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中国の「人民元引き下げ」とはどういう施策?分かりやすく解説してみました。

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よくニュースや新聞で見聞きする中国人民元の「切り下げ」。

FX取引など為替の取引をしている方でも人民元の切り下げについて説明できる人は少ないように思えます。

元の切り下げを一言で表すと「強制的に人民元のレートを現在よりも元安ドル高に設定」するということですが、これだけでは何のこと?となってしまいますよね。

そこで、元の切り下げについて中国の為替政策の基本から分かりやすく以下にまとめてみました。

中国の人民元切り下げとは?

まず、中国の為替政策は日本やアメリカ、イリギスなどの変動相場制とは異なり「管理変動相場制」をとっています。

変動相場制(日本やアメリカ等)について

変動相場制とは為替レートをマーケットの需要と供給に任せ、基本的に政府(中央銀行)は為替相場には介入しない制度のことです。

市場でドルが円に対して人気であれば円安ドル高に進み、当然逆も然りとなります。

管理変動相場制(中国等)について

管理変動相場制とは政府が為替レートの基準値を定め、その基準値から一定の変動幅の範囲内で変動させる制度のことです。

実質的には「固定相場制」と言ってもよく、政府は設定した範囲内で為替相場が推移するよう、外貨準備高(為替を安定させるための資金)を使い市場に介入し通貨を売ったり買ったりします。

中国の場合は、毎日公表される基準値からの変動幅を上下2%以内としています。

2015年8月に人民元を3日連続で切り下げ

2015年8月、中国は外国資本の資金引き上げや資産家による海外への資産の逃避、輸出の低迷や景気後退に苦しみ、中央銀行である「中国人民銀行」が突如、人民元の対ドルレートを3日連続で切り下げました。

具体的にはこの前後で、人民元の対ドル基準値が1ドル=6.116元から1ドル=6.401元(2%の元安ドル高)になりました。

このことは元ドルの実勢レートが元安ドル高で推移しており、人民銀行が介入しても相場を支えるのが苦しくなったともとれます。

「6.116元→6.401元と上がっているのに何故切り下げ?」と思うかもしれませんが、切り下げとは「元の価値を下げること(元を売って外貨を買うこと)」を意味します。

人民元は2015年以降、当局にコントロールされながら少しずつ上げ下げを繰り返し、2017年8月現在では1ドル=6.66前後で取引されています。

難しい舵取りを迫られる中国

中国としては元安ドル高は輸出企業の儲けを増やし景気を良くする一方、海外への資金流出を招き、さらにアメリカをはじめとする外国から批判を受け、貿易摩擦に発展する可能性も。

元高ドル安は輸出企業の競争力を後退させ国内景気の低迷を招くなど弊害が多いとされています。

中国は人民元を国際的にやりとりされる「基軸通貨」として流通させることを目標としていますが、そのためには現在の管理制やめて変動相場制に移行しなければなりません。

とはいえ、中国共産党にとっては国内の経済や金融市場の安定が何よりも大事。

そのため為替制度に関する改革ができず、かといって相場をコントロールするのも資金量等に限界があり、これらのジレンマに苦しんでいるのです。